|
カソヴィッツの新作『アサシンズ』は、その題材や表現スタイルなど、前作の『憎しみ』とはまったく違ったタイプの作品に見える。主人公は、老いた殺し屋、そして奇妙ななりゆきで彼から殺しの手ほどきを受けることになる、25歳と13歳という世代の異なるふたりの若者たち。今回は全編カラーで、前作の非情なリアリズムとは対照的に、暴力的なイメージや空虚な笑いに満ちたテレビ番組、そのパロディ、CM、ゲームなどの映像の断片が、
ドラマを撹乱するかのように執拗に挿入される。そして実際、マスメディアの力によって殺し屋の師弟関係が崩れたとき、13歳の少年は短絡的な暴力に走ることになる。
確かに、題材や表現スタイルはまったく違うが、暴力に対するこの監督の鋭い眼差しは、まったく変わっていない。
『憎しみ』のドラマを劇的なものにしていたのは、三人の主人公のなかにある暴力の意味や重さの違いだった。アラブ系とユダヤ系のふたりの若者は、望んだわけでもないのに移民労働者の子供としてフランスに生まれ、バンリューに押し込まれていることに不満をつのらせ、怒りが突発的な暴力に発展する危機感をはらんでいる。これに対して、ボクサーであるアフリカ系の若者は、
部屋の壁にメキシコ五輪の表彰台で差別に抗議したカルロスやスミス、そしてモハメド・アリのポスターがはってあることからもわかるように、差別と怒りの歴史を踏まえ、また、ボクサーとして暴力の何たるかをわきまえている。
だからこそ彼は、仲間の短絡的な衝動を抑えようと腐心する。しかし、最後にこの暴力を知っている若者の忍耐が限界に達したとき、深い憎しみと暴力があらわになる。
|